夕方の散歩は楽しい。涼しいからいくら歩いても汗をかくことがない。夏の花々を愛でながら歩く喜びは格別だ。この季節にはユウスゲがそこかしこで見られる。日光キスゲはオレンジ色に近い色で朝咲いて翌日には萎む。一方ユウスゲはレモンイエローの涼やかな色で夕方咲いて翌日には萎む。どちらも高原の夏を彩る代表的な花だ。立原道造の『ゆふすげびと』という詩がある。
かなしみではなかつた日のながれる雲の下に
僕はあなたの口にする言葉をおぼえた、
それはひとつの花の名であつた
それは黄いろの淡いあはい花だつた、
もちろんまだ続きはあるが、ユウスゲのほのかな甘い香りにも似た、ちょっと感傷的な内容で、若い女性に受けそうな詩である。
ユウスゲに魅入っていたら西の空が赤く染まり出した。夕焼けはいつ見ても哀しい。まるでユウスゲとセットであるようなそんな風景に私の心身は満たされた。歳を取って何が一番の慰めになるかと言えば山川草木の自然だけ。



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